うちの社長2011年02月04日

 うちの社長はうるさい。

 規律に厳しいとか、金に細かいという意味ではない。経営者なのだしそういう面も多少はあるだろうが、殊更に言うほどのことでもない。冗談がしつこいという話では、今回はない。

 物理的にうるさいのだ。

 クシャミが大きいだけでなく、咳も欠伸も溜息もゲップも音が大きい。手やハンカチで口を塞げば良いだけのような気もするが、わざととしか思えないほど大きい。ゲップは病気じゃないかと思うので病院へ行った方が良いと思う。

 蕎麦を啜る音は良いとして、飲み物もすべからく「ズズズ」と啜る。ストロー物は絶対最後に大きな音を立てる。そして物を噛む時も咀嚼音が大きい。

 組んでるか何かしてる脚を頻繁に踵から落とすので、静かな会議中などは一人でドスンドスンと足を鳴らしている。中空のOAフロアなんかだと何かと思うくらい音が大きい。

 物を静かに置かない。10cm位しか離れていなくてもなぜか投げる。ペンも金尺も分厚いCDファイルも投げるから、いきなり「ガシャーン」だの「ドカンッ」だの大きな音が響くので、気を抜いてるとかなりビクリとする。ゴミ箱はあまりにうるさかったので金属製のを勝手にプラに買い換えた。

 尤も、話し声や笑い声はなぜだか普通である。むしろ私の方が大きい。前の会社で、京都出身の上司に電話で話す声が大きいと注意されたことがあった。ま、京都だからな。

 何の話だっけ。うちの社長がうるさいという話だった。

 その様な環境だからと言って別に職場が厭な訳ではない。「何事にもプライオリティを見極めろ」というのが、付き合いの長いこの社長から学んだ最も重要なことだ。広告制作の仕事をするにあたって社長がうるさいくらい何てことはない。

 私「ちなみにこの日に撮影入れないのはなぜですか?」

 社長「それはお前、その日は飲み会だからだ」

 あ…、あれ?


読書 山崎ナオコーラ「カツラ美容室別室」河出文庫

男女の間にも友情は湧く。湧かないと思っている人は友情を綺麗なものだと思い過ぎている。友情というのは、親密感とやきもちとエロと依存心をミキサーにかけて作るものだ。ドロリとしていて当然だ。恋愛っぽさや、面倒さを乗り越えて、友情は続く。走り出した友情は止まらない。 (本書P.150より引用)

設定や台詞に、なにかとぼけたところがあるのだが、しかし実際の生活というのは物語のように何もかもピースが揃ってはまる訳じゃなくて、とぼけていたりぼんやりしていたりするだろう。でも大枠では、ああこういうことかと思えることが小説にはもちろん必要だし、やはり実生活にもあって欲しい。ちなみに男女であれ何であれ人と人の関係は組み合わせ次第なので、セックスしていても友達というのもあると思うが。


小隊司令部発

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