緑色を選ぶ人は、こういう人です。2011年06月25日

 得意先と同じビルに入っている有隣堂は、私が最も頻繁に利用する本屋だ。利便が良いという事もあるが、平台の趣味も割に合う。それと、この店が文庫に付けるブックカバーが気に入っている。何の印刷もない無地の紙(レザックという厚紙)が使われていて、数色から選べるのである。私が選ぶのは言うまでもなく緑なのだが。

 先日入口近くの新刊文庫コーナーにPOPが新設されていた。当店のブックカバーは色が選べて、この色を選ぶ人はこんなタイプです、という占いみたいなものだった。言うまでもなく緑色がどうなのかを見るのだが、「こつこつと努力を重ねて成功を目指す」という様なことが書かれていた。私はなにやら厭な気分になり、一瞬何か他の色がないかと探してしまった。と言ってもライムやダークグリーンなど“他の緑色”という事だが。

 何が厭な気分の元なのか考えてみる。こういう事を言われるの自体が、あまり好きな方ではないのだ。「あなたって、こつこつ努力を重ねるタイプよね」なんて言われるところを想像してみなよ。鼻の頭に毛虫が留まった時のスヌーピーみたいな顔になるね。断定風に言われる事自体が厭な訳じゃない。「こういう事」なのが厭なのである。でも、大抵みんな厭じゃないかな。

 それから、言われていることがまるで見当違いな所も厭だ。自分は別に一発勝負の山師や何の苦労もない天才なんかではないのだが、「こつこつと努力を重ねて成功を目指す」だなんて思ったことも言われたことも目指したこともない。こつこつじゃなきゃ駄目なのかよ。四十代半ばで過敏に反応する部分じゃないのかも知れないけれど。

 自分の周りには人の内面についてあれこれ言う様な人は少ない気がしたが、よく考えてみるとこれもまた例によって、私自身が言われにくいタイプなのかも知れない。

 とりあえず、件の占いは自分の中で「緑色を選ぶ人は、装甲擲弾兵タイプです」と置き換える事にした。

注)大戦独軍は兵種によって兵科色というのが決まっており、装甲擲弾兵はアップルグリーンなのだった。


小隊司令部発

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