無意識読書2012年06月09日

 私は忘れっぽい。「最近」と打とうとしたが、最近のことではないということは辛うじて思い出した。忘れてしまってとても惜しい思いをすることもあれば、忘れられて良かったということもある。具体的にどんな事をと訊かれても、忘れているのだから挙げられない。凄くイイ女と一夜を共にしたのにその細部を覚えていないとか、ちょっと面倒な仕事をこなした時の達成感とか。…どっちも嘘だが。厭な事の方は挙げられるが、そっちは挙げたくないから挙げない(忘れてないじゃん)。

 しかし大概の場合は、忘れていた事に気付くときょとんとする。「唖然」では大袈裟だし「ビックリ」と言う程には動的でない。

 朝の通勤時に鞄から文庫本を取り出す。栞の所から読み始めるのだが、どうも話が繋がらない。少し遡って再度読み始めるのだが、読み覚えがない。結局、栞から読み覚えのある箇所まで1ミリ位もあった。どうやら呑んで帰路の電車内で読んだらしいのだが、全然覚えていないのである。

 何事かに囚われていて本の内容が頭に入らないとか読み進められないという事は、まああるだろうが、読み進んだのだが読んだ事自体覚えておらず、勿論内容も覚えていないのである。尤も内容だけ覚えていたらそれはそれで凄い事だがそれはない。

 これが例えば運動だったら身体を動かした分鍛えられたりするのかも知れないが(酔って運動をしてはいけない)、本を読んだけど内容を覚えていないのでは何の身にもなっていない。こういう無意識読書を私は月2回くらいはしてしまう。ひょっとしたらその時に感じたいろいろな思い位は、身になっていると思いたい。

 しかしこれはまだましである。何せ使ったのは時間だけで、しかも大抵は元々潰さねばならない時間だったのだから。時間も金も使っているのに忘れているというのはとんだ無駄である。そして私は月1回は、無意識酒場立ち寄りをしてしまうのである。

いや、木曜の遅くに寄ったことは覚えてるよ、ふる君。

小隊司令部発

←HTMLのアーカイブ版はこちら。ブログのコメントは、いつでもいつのにでも大歓迎。また、BBS「連絡所」もあるのでご利用を。