クラウド戦車とか2012年07月01日

 今話題の広告に「クラウド戦車」というのがある。キャラクター等ではなく、実在のリアルな戦車の車体全面に、バスや電車に良く用いられるラッピング広告を施している。広告主はクラウドのグループウェア最大手サイボウズ社。実在しない身近な存在を、実在する非現実的な存在で広告するという面白さを狙ったのではないかと想像していたのだが、サイトを見ると契約顧客数1,000社=センシャ達成記念なのだそうな。…まあ企画書にはその手のことは書かれていただろうけど。

 ちなみにこの戦車、“お好きな方”には一目で分かる有名なプロップ(映画などで用いる大道具)である。自衛隊の61式戦車を模して作られたもので、'79年公開の角川映画「戦国自衛隊」などに登場している。今回の広告で健在なのを知って多くのマニアが感嘆の声を上げたのではないか。

 日本の映画には三大プロップ戦車(私が勝手に命名)がある。この“戦国61式”と、「226」(松竹'89年)に登場した物。そして「馬鹿が戦車(タンク)でやってくる」(松竹'64年)の“馬鹿タンク”である。

 この内「226」の戦車については、既に当サイトで取り上げている。そう、那須戦争博物館のあの怪しい戦車である。3台作られたこの戦車は、映画公開後に専門誌(と言ってもなぜか「アームズ・マガジン」)で売却の広告が出ていたそうだが、売れ残りの末に1台は那須に、2台は寄贈の形で夕張「花とシネマのドリームランド」に渡り、いずれも朽ちるに任せている。

 三大プロップ戦車の中では最古の“馬鹿タンク”だが、実は実走可能の状態で現存しているという。ランクルエンジン搭載の雪上車改造“馬鹿タンク”は、戦国61式と共に神奈川県の自動車修理解体業・鈴木商店が所蔵し、劇用車として貸し出している。

 プロップということではあれこれ言うのだが、その実車には結構ウキウキしてしまうのは男の子気分が抜けていないからか。

「那須戦争博物館」にて。時代考証からすれば92式重装甲車なのだが、下半身がなぜか97式チハ風の「226」鎮圧部隊の戦車。
訪館当時のレポートはこちら

その226戦車が当時雑誌で売りに出ていたという。「アームズ・マガジン '89年4月号」。…物持ち良いってある意味怖いな。発掘したら本当に載っていた。それも全然欲しくなる様な写真でないという。[クリックで拡大]

関連リンク
■(有)鈴木商店 鈴木商店では劇用車としての貸し出しをしている様だが、情報へはアクセスできず。みんな面白がって見に行くからだな(苦笑)。
■サイボウズ「センシャ・キャンペーン」 事後情報となり申し訳ないが、クラウド戦車は6/30六本木ヒルズに実車が持ち込まれたのだった。→
■「ATFの戦争映画観戦記」 これら情報の元ネタはATF氏の「ATFの戦争映画観戦記」 (残念ながら昨年半ばで更新終了)に寄るところが大きい。画像が殆どインフォシークに上がっているため、テキストしか読めないという残念な状態になっている(インフォシークの無料サービスiswebライトは2010年10月で終了している)が、それでも充分に資料価値がある。

読書 乃南アサ「不発弾」講談社文庫

初・乃南アサ。あまり売れていると途中から読む気が起こらないというあれだが、短編集だし、流し読みの感じでは悪くなかったのでお試しに。サスペンスは趣味でないし、中にはお綺麗にまとめ過ぎてラスト鼻白む様に感じた物もあったが、色んな作品があり、それぞれ楽しめた。ただ、表題作は読後感が不発弾だった。

 

小隊司令部発

←HTMLのアーカイブ版はこちら。ブログのコメントは、いつでもいつのにでも大歓迎。また、BBS「連絡所」もあるのでご利用を。

コメント

_ cyd ― 2012年07月01日 00時21分33秒

隣町に存在する中田商店社長の私設戦争博物館(非公開)には米軍払い下げの実物戦車が数輌所蔵されおり、以前は訪ねて行くとと無料で見せてくれたらしいw しかしながら、私はその所在地を知らないのであった(爆)

_ 小隊長 ― 2012年07月01日 00時44分56秒

なんだその話!! 下着姿でうふーん、さよならみたいな!! でも独軍のはないだろうし、まあいいやとしておきます。

_ cyd ― 2012年07月01日 04時17分47秒

戦車は米軍が日本国内で払い下げした物だそうです。その代わり、軍装品は世界各国の物があるとの噂ですw

_ ATF観戦武官長 ― 2012年07月01日 13時45分46秒

小隊長@栴檀林小隊殿

はじめまして。ブログ「別冊戦争映画観戦記」を執筆しておりますATF観戦武官長と申します。

当方連絡掲示板への態々のご丁寧なご連絡ありがとうございました。専ら資料的価値は無いと言っておりました「戦争映画観戦記」の記事を参考にして頂いただき、誠に恐縮しております。

サイボウズ社センシャキャンペーンは当方ブログでも紹介し、サイボウズ社広報担当者の方からコメントを頂きました。

なお直近の情報では、馬鹿タンクは所有は変わっておりませんが、経年に伴う車体の劣化が著しく、レストアには多額の費用が必要だそうで、復活は難しいらしいです。、

_ 小隊長 ― 2012年07月01日 15時01分08秒

ATF観戦武官長殿
早速のコメント返しをいただき恐縮です。

貴ブログ記事のセンシャキャンペーンの件、見落とし失礼しました。やはり検索で皆さん「戦争映画観戦記」に行かれるのですね。

馬鹿タンクは確かにもう完全にクラシックカーのお歳ですから、完全屋内保管でもそうそう完動させるというのは難しいですね…。

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

※投稿には管理者が設定した質問に答える必要があります。

名前:
メールアドレス:
URL:
次の質問に答えてください:
スパムフィルタの質問です。当サイトのメインカラーは? 漢字1文字で入力して下さい。

コメント:

トラックバック

このエントリのトラックバックURL: http://sendanrin.asablo.jp/blog/2012/07/01/6497007/tb

※なお、送られたトラックバックはブログの管理者が確認するまで公開されません。