内神田発ナポリタン探訪 最終回(全4回) 時間の止まった駅前の一角に、毒舌マダムと共に健在のナポリタン「画廊喫茶ミロ」2016年02月26日

 10年以上前に御茶ノ水の会社に勤めていた。事務所移転で徒歩だけで行ける距離になり、駅前を少し彷徨いてみた。最近になりようやく大規模開発の掛かったJR御茶ノ水駅だが、大きな病院等が立ち並ぶ街なのに駅前は貧相なままだ。その駅前通りを1本入るだけで、人がすれ違えない位に狭くて薄暗い路地がまだ残っている。そこには画廊喫茶ミロも、佇まいそのままにまだあった。

 ランチにはまだ早い時間だったが、路地を片していた女性の店員さんに声を掛けると大丈夫と言うので入る。白人の様で、歳は四十辺りの様にももっと若くも見えたが、日本語はとても流暢だった。

 変わらない店内。調度品もテーブルも雑然とした雰囲気そのものが変わらない。ナポリタンはやや構成が変わった様で、以前ランチタイム外に来ていた時はステンレス食器+ガラスボウルだったのが陶器のワンプレートになっていた。ひょっとしたらランチタイム外はそうなのかも知れない。

 何より変わらないでいて驚いたのが、ご高齢のマダムとそのボヤキ。「国鉄も駅の中に弁当屋や蕎麦屋ばかり作ってどういうつもりだよ」「あの人達はね、御茶ノ水をわかっちゃいないよ」「すぐに人が変わって信用できない」(口調はややうろ覚え)とか、厨房やホール相手にずっと喋っていてやれやれと思っていた。

 ところがそれを先の店員が制する様に「誰かが必要だから作るんでしょ。ここでそんな事言ってもしょうがないじゃない」と返していた。愉快な気はするが怪訝に思い、帰り際「“普通の”ウエイトレスさんではないんですか?」と訊ねたら、「…嫁なんです」と。いや、これは更に愉快。思わず「10年ぶり位に来たんですが、あんな風にご健在で安心しました」などと、何かおべんちゃらみたいな事を言ってしまった(苦笑)。

 知らないと面食らうが、まあ、この店はこれで良いんじゃないか。締めにもならないが(笑)。


ランチセット ナポリタン(1,100円)
太麺で皿も大きいためスケールが分かりにくいが、結構なボリューム。これにドリンク付。


過去記事 '02.6.14 小隊司令部 ナポリタンの昼下がり

画廊喫茶ミロ喫茶店 / 御茶ノ水駅新御茶ノ水駅小川町駅
昼総合点★★★☆☆ 3.5


小隊司令部発

←HTMLのアーカイブ版はこちら。ブログのコメントは、いつでもいつのにでも大歓迎。また、BBS「連絡所」もあるのでご利用を。