月に5本2009年10月07日

 久しぶりにbar BREAKへ立ち寄る。パスケースにチケットが残っていた。

 ご無沙汰だったのは、このところ直帰や歯医者通いが続いたので適当な時間に神田にいなかったからだが、要するに暇な時期にはあまりあちこち呑みに行かないのだ。最近酒場で私と会った皆さんは何か幻でも見たのでしょう。

 例によってカウンターの奥の方で呑んでいると、他の客が冗談交じりに自分の銘柄の煙草がないことを嘆いているのが聞こえた。そう言えばとストックのカゴを見ると「ダビドフ・ワン」と目が合う。気取って書いているのではなく、まさしく「目が合う」感じだった。

 カウンターに視線を戻そうとすると今度はS嬢と目が合う。

「あるんですよ(ニコリ)」
「日に5本だったのが、最近は月に5本だからなぁ」
「じゃあ止められるじゃないですか」

 喫煙者・非喫煙者に関わらず、煙草の本数が少ないのを聞くとなぜか皆一様に同じ事を言う。これが珈琲ならそうは言われない。セックスだったらどうか? それは寡聞にして聞かない。

 「嗜んでも嗜まなくても良い物」なら「嗜まなくて良い」のではなく「嗜んでも嗜まなくても良い」のだと言い出すと、まあ既に煙草の話をしている訳ではなくなっているのだが。

「選択肢があるというのが文化の豊かさだと思わんか?」

 と、もっともらしい台詞が浮かんだが、またしても漫画からの引用だったので口に出すのは止めた。本式に出汁を採った味噌汁もインスタントの味噌汁も選べるというのが、醸された文化の豊かさだと確かに思うよ。

 ズブロッカを頼んだら「大人の男はモルトを飲るもんだろ」と言われたらどうするか。灰皿投げつけるね。何を呑もうと勝手じゃねぇか。

 もっとも、文化を維持するには金子(きんす)が必要ということで。不惑を過ぎても学ぶことは多い。あるいは忘れているだけか。

 何の話だって? あまり酒場に行ってないって話だよ。

パスケースに入れておくと、なくしたり洗ったりしなくて済む。財布だとむしろなくす。

読書 吉田篤弘「つむじ風食堂の夜」ちくま文庫

流し読みして買う。文体などは割に好きなのだが、なんか「いつも着ている服よりルーズフィットな着心地がむしろ違和感」な感じ。新刊が出ていたので、もう1冊読んでみてもいいけど。う〜ん。何の書評にもなってないな。


小隊司令部発

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