少し前の酒場での話だが、その場にいる顔見知りに恋の相談やら愚痴やらを漏らす若い女性客がいた。ドラマのワンシーンにしてもありがちという気もするが、実際にはまま出会す。ともあれカウンターが何とはなしにその話題に呑まれてしまうのは、少し困ったことである場合も多い。
その時の相談役は私ではなかったのだが、比較的私はそういう話をし易いらしい。相談ではないが、先日も20近く年下の女性の“近況”を聞いて、「そういう話、あまり男性に話さないよね?」と逆に聞いてしまった。某嬢曰く「お姉さんみたいなお兄さんだからですよ」とか。
その晩は、相談役となってしまった女性が、違う話題を織り交ぜて方向転換を図るも不発。周りも諦めて黙って呑み続ける。そろそろ皆が面倒臭くなってきたかという時に、相談役の連れが痺れを切らしてか「そんなの場数踏めばわかるわよ」と一蹴。そうだそうだ、それで終わりだ。
ところが相談役が「あなたのは全部不倫じゃない」と突っ込む。
「あら、楽しいのよ」
彼女があまりに事も無げに即答するので、思わず顔を覗き込んでしまった。私は“鳩が豆鉄砲喰らった”様な顔でもしていたのか、彼女は涼し気な表情のまま「恋愛するのはね」と、私の方を向いて付け加えた。
恋愛を面倒臭く思うのは、自分自身が面倒臭い人間だからだと言ったのは誰だったか。私はそもそもそれを楽しむ身分ですらない訳だが。
さて、ここ暫く、小説コミュニティに参加しているということもあって、継続的に掌編小説を書いている。ほとんどが恋愛物なのだが、実のところ学生時代に漫画を描いていたときもそうだったので、自分としては違和感ない。傍目にはどう映るのだか。
しかし創作と日々を書き綴る随筆の差異はそれなりあるので、ここらで創作発表の場を本欄とは分離することにした。興味を抱いていただける方は引き続き宜しく。更新のお知らせは随時、本欄右にも表示されるツイッターにて。
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