冗談2009年10月22日

 「お仕事は何をされているんですか?」と訊かれたので、「見たままですよ。区役所の出納係です」と答えた。

 彼は何かとても困惑した表情となり、一瞬私の後ろにいる店長の方に視線を振る。ちらと彼女を見てみると、これも軽く引き痙った様な笑みを浮かべている。

 どうやら私はとてもつまらない冗談を口にしてしまったらしかった。

 本当のことを言うとほっとした表情になり、それなら実は自分も近い業種ですよという話になった。いつも自分で書いているじゃないか。「酒場で偶然隣り合わせた奴の冗談に付き合うほどつまらないものはない」って。そのまんまやってしまった。やれやれ。

 かように私にも酒場の失敗談は山とある。大概は読んでもつまらない物なので書かないだけだ。逆に言えば、人に話して楽しくなる様な失敗というのがなかなかできない。

 語り草で誰にでも話せる愉快な失敗をする人とそうでない人との間には、何か決定的な違いの様なものがあると思う。その意味に於いて、私はなんとつまらない男であることかと、常々思っている。

 MTB乗りの知り合いが、MTBに向いているかどうかは「転んで笑えるかどうかだよ」と言っていたが、確かに私はMTB向きではないかも知れない。落車したらまず舌打ちだろうしな。例えばそういう違いだろう。

 私が呑んで冒す失敗というのは、大概が人に話したところでしょうがない様な、いわば起承転結のない思い付きの例え話の様だという気がする。家人によれば、まあ実際にそういう話をすることがままあるそうだ。それに最近は寝てしまうことがあり、それでは本当に起承転結がない。しかし前者については外で指摘されたことはないのだが、外だから誰も口にしないのではないかと言われる。どうですか皆さん、私はそんな話ばかりしていますか。

 例えば春の熊と抱き合って坂を転げる様な話なら心和む気もする。分かりにくいつまらない冗談だって? 私もそう思う。


読書 石田衣良他著「オトナの片思い」ハルキ文庫

石田衣良・栗田有起・伊藤たかみ・山田あかね・三崎亜記・大島真寿美・大崎知仁・橋本紡・井上荒野・佐藤正午・角田光代の11人によるアンソロジー。半分が読んだことのある作家なので買ってみた。上手いけど趣味じゃないとか、趣味だけどイマイチだとか、いろいろ。1作と言ったら井上荒野「他人の島」かな。石田「フィンガーボウル」は嘘臭い。角田「わか葉の恋」は、ちょっと暫くいいや。それはともかく、恋をすると同棲するもんなの? 私にはわかんないや。したことないんで。


過日、立て続けに2人から「出口、らしきもの」についてのコメントを戴いた。そういえば記録兼自己紹介と言っても20年も前に描いた漫画を載せたままにするのもなんだなと思って削った。
と、twitterの様に欄外に書いてみたり。[はみだし栴檀林]とかタイトル付けるか。<歳ばれますヨ

小隊司令部発

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