スマート2012年04月05日

 携帯で話をしながら乗り込んできた若い男が、切った携帯をポケットに突っ込んで優先席に座った。ストラップ部分には何だか良く分からない物がジャラジャラと付いている。小学生なら先生に取り上げられる様な状態だ。

 大体パンツのポケットなんかに携帯をそのまま突っ込んでいる様なのは、どうせ掛かってきたら横に座る人の脇を肘で押しながら取り出すに決まっている。すると予想した通りの動作で、しかし反対側のポケットからイヤホンとスマホ風の何かを取り出した。通話に使わないからといって音楽プレーヤーとは限らないが、音楽を聴いているからといってスマートホンでないとも限らない。「瓜田に履を納れず、李下に冠を正さず」なんて言っても分からんだろうな。

 そもそもスマホの何がスマートなのだろう。従来型の携帯電話に較べてゴツゴツもっさりとしていて重量もある。そのくせ耐久性は低くてすぐ壊れる。全然スマートじゃない。尤も私自身が世の何がスマートなのか分かっていないのではあるが。スマート・パトロール、スマート・ボム、皆何がどうスマートなのだろう。分からない。

 男のやることなすことは案の定で、座る姿勢も座席に浅く腰掛けたまま脚を投げ出す。電車では、脚を投げ出すのがスマートでクールなのだろうか。無性に蹴りたくなる。蹴りたい。あの脚を蹴りたい。ゆっくり近付いていって爪先をコンとやるのが良いだろうか。何なら車両の端から走ってきて思い切り蹴り上げるのも一興かも知れない。

 次の駅に着き、乗ってきたお年寄りに意外や席を譲るとか、逆に案の定無視するとか、さらに着メロ鳴らして掛かってきた電話に出るとか、いろんな事をぐるぐる考え始めたところで次の駅に着き、男はあっさり降りていった。

 何だおまえ、不快な上に無芸な奴だな! 初めから列車に乗って来るな馬鹿たれが!


読書 山崎ナオコーラ「男と点と線」新潮文庫

淡々と描かれた世界のあちらこちらでの男女の話6編。やけに淡々としてるな。しかも互いに何の関連もない。たまには良いか。それにしてもこれ世界中である必要ない気がするんだが、まあ作者の好きなようにすればいいか。


小隊司令部発

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