携帯と介護用品で戦争。もしくはその逆。2009年11月26日

 少し前の話だが、ロンドンでDSEi(ディフェンス・セキュリティ・エクスポジション)が開かれた。いわゆる兵器見本市である。ある種映画や漫画でしか聞かない様なイベントだが、実在する。実在どころか、こういう場だからこそ出品物には社会情勢の諸々がリニアに反映されており興味深い部分もある。

 月刊「Gun」先月号には小火器専門誌としては見慣れない形状の装置が載っていた。携帯電波ジャミング装置(ジャマー)だ。民生品の様に映画館や劇場に設置するのではなく、軍・警察仕様の可搬型である。携帯で爆弾を起動するテロが増えており、その対抗策だそうだ。

 そういえば携帯電話がアナログだった時代に秋葉原の無線屋で携帯型ジャマーをよく見掛けたが、どうやら最近また出回っている様だ(ちなみに電波法違反)。

 次に目に止まったのが歩行補助具の様な物。米ロッキード・マーチン社HULCは人が装着して重い荷物を運ぶための脚力補助ロボットスーツ。名前は超人みたいだが(スペルが違うか)細身で小さく畳める。駆動音を減らすのが課題というが、後方用には問題ないだろう。 1人で運べない大きな砲弾もキャリアを付けて運べると謳うが、しかし“手”が付いていないから装着者自身は簡単には持ち上げられないのが片手落ちだな。

 記事では民生転用して福祉現場で使えるかもと書いていたが、それは笑止である。日本の福祉現場には遙かに優れた同種のロボットスーツ、サイバーダイン社(筑波大のベンチャー企業)製HALが活躍中だからだ。しかし目的外利用を徹底して禁じているくせに架空の殺人兵器のメーカー名を名乗るのはちょっとジョークがきついかも。


「お姫様だっこくらいできなきゃね」
「それ、目的外利用じゃねぇのか?」

 ともあれ、昔読んだ絵本の「戦争好きな王様の国はすぐ戦車に出来るからトラクターが多い」のロジックは間違っていると確信しているので、そう簡単にT-800は出現しないだろう。

小隊司令部発

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