ヨムヨムをヨムヨム2006年12月23日

 斬新なカバーデザイン。斬新過ぎて不安になる。私の不安と言うより書店販売員に代わっての不安だ。この体裁では、まるで新潮社の販促用パンフみたいではないか。平積みされていたらレジを通らずに持って行かれてしまうのではないか。私自身は手にする前にこれが売り物だという事は知っていた。新潮文庫に広告が挟まっていたからだ。もっとも680円するということは忘れていたが。

 ちなみに中身は有名作家書き下ろしのエッセイや読み切り短編満載である(宣伝文みたいで変だな)。ダイジェストや書評・解説の類を編んだわけではない。でも大概の人は実際ページをめくるまではその様に思うのではないか?

 何も文芸誌然とした体裁を良しと言っているのではないが、だからと言って掲載作家の名前一つ表紙に載っていないというのはどんなものなのか。現状の文芸誌の表紙は、確かに読むつもりの人以外が手にする物とは思えないけれど、こんなノベルティチックでファンシーな装丁にしたからと言って、きちんとリターンしてくる読者が手にするとも思えない。というか私は電車内で手にしていると恥ずかしい。

 私の、文芸雑誌やらアンソロジーやらの購入基準は、好きな作家、あるいは読んだことのある作家が3人程度は載っているという程度だ。この本は、重松清、角田光代、三浦しをんが載っていたので買うことにした。いずれも文庫本になるのはずっと先かありえないかというものだったので良かった(?)。

 本誌は『小説新潮』の別冊という扱いだが、このイラストレーターのファンが、対象読者層と合致するのだろうか。…しないよな。何にしてもこの表紙だけはどうにかして欲しい。真っ赤な地にパンダの雑誌を電車の中で広げられるか? 小官は政治的信条の上でも拒否したい(またそういうコト書くぅ〜)。

ヨムヨム


小隊司令部発

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