掌編「与太話」2010年09月23日

「いま、どこ?」
「海の上を走っている」

 耳に差したハンズフリーフォンから彼女の「ふん」という返事が聞こえてくる。

「溺れないようにね」
「誰に?」溜息の後、切れた。

 併走車がいないのを確認して車線を二度変えてみるが、カーナビの画面では、相変わらず僕は数百メートル東の海の上を走っている。そんなに古いタイプでもないのだが。

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 出口、らしきものこの作品は、mixiの「お題に合わせて短編小説を書こう」コミュのお題「みちびき」に参加。字数制限はコミュの仮規定2000字に準拠。そういえば、これで10回連続参加だった。

 


読書 角田光代「三面記事小説」文春文庫

事件記事をモチーフにした短編集。重松清を思い出したり(ルポライターから小説家に軸足を移した)した。それにしても重いなぁ。元の記事は冒頭デザイン的に配されるだけで特に説明はないのだが、記事は本当に全くのモチーフらしい。それより、作り込まれる細部や展開される背景にただただ感心しつつ、しかし胸を掴まれた様に息苦しさに重い気持ちになる。


小隊司令部発

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