日記調の朝2012年09月04日

 朝、出掛けに居間の真ん中に口を結わえたゴミ袋があったので、「他には?」と妻に声を掛けてみた。今日は遅い出勤らしく部屋着のままテーブルでノートパソコンに向かっていた妻は、顔も上げずに「他にもあるからいい」と言った。一瞬躊躇したが、私はごみ袋を手にしたまま玄関へ向かう。「自分の部屋の分もあるから一緒に持って行くよ」位言えばいいのだろうが、それも何か煩わしく思え「行ってきます」とだけ言って家を出る。

 ごみ捨て場のネットを摘み上げると、脇を黒い影が抜けていく。トカゲと思ったが、壁面を斜めに登って行ったのでヤモリだったのかもしれない。指の先がどうなっているか見る暇はなかった。しかしそのコミカルな動作に、ある種心を癒されながらごみ捨てを完了。表通りへ向かう。

 強いと感じる陽射しも一時ほどではなく、わざわざサングラスを持って出る強さではなくなっていた。「わざわざ」というのは、私は眼鏡を掛けているから、サングラスを掛ける際は当然別にその眼鏡とケースを持ち歩かなければならないからだ。しかも今日は得意先に直行だから、いつもなら職場に置き放しにしている仕事用の玉に色の入っていない眼鏡も持たねばならない。眼鏡を掛けた上に、掛け替えの眼鏡を2つ持ち歩くだなんていくら何でも馬鹿げている。

 週末の秋祭りは、あの雨で散々だったのだろう。いつもならごみや油で汚れている商店街の歩道が、比較的綺麗だった。干上がり掛けの水溜まりにはプラスチックらしき何かの蓋が落ちていて、それが祭りの後を思わせた。

 夏休みは終わったというのに、いつもより1時間遅いと街も駅も随分と静かだ。大学はまだ始まっていないのだろう。空いた電車はすぐに座れた。隣の年寄りが熱心に何かを読んでいる。A4判モノクロ平綴じで、何かのテキストの様だ。ヘッダーのタイトルを見ると「日記の書き方」とある。

 それに触発されての今回の日記調。なんて、嘘つけ。


小隊司令部発

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