AB間に於ける遠藤さん像の検証 ― 2006年06月25日
午前中の電車に乗ると、隣り合わせた同世代くらいの女性2人が割合大きな声で話し始めた。あまりに途切れなく続くので、そのうちこの2人は一体何をそんなに話し続けているのだろうと思うようになった。 しばらく話し声ではなく内容の方に気を向けていると、これが本当にとりとめもなく続くのだ。しかも一方がずっと話していたかと思うと突然全然噛み合わない返事を返したり、話すことの意義自体を疑問に思うようになる。あまりに迷走するので聞いているこちらが混乱しそうになってくる。私はメモパッドを鞄から取り出して、話の流れを整理しながら書き留め始めた。 A遠藤さん(何かの集まりの責任者?) A→ある日駅前であったときの応対について。細かい描写あり。オチなし。 B→服装の趣味について。誰だか、お笑いタレントに似ている? 思い出せず。 A↓あるお笑いタレントの出ているCMについて。 ↓ B↓別のCMに出ている女優の結婚相手について。 ↓ A遠藤さんはHというお笑いタレントに少し似ているらしい。 こんな風なことを書き留めていると、やや痩せている方の女性(A)がこちらを見る。「何してるんですか!?」ぐらい言われると思っていたが、こちらが顔を上げると目を背け、もう一方の女性に何か耳打ちをした。至近距離なのにまるで聞き取れず声すら出ていない様でもあった。何かの暗号通信か。しかしそれでコミュニケーションが取れるなら、なぜ今まであんな馬鹿みたいな声で話し続けていたのかがわからない。ふと気付くと2人は5mくらい先まで移動してしまった。 「こんな下らない話をよくあんなに続けられるなぁと思って書き留めていたんですよ」くらい言ってやれば良かったかも知れないが、実際の所は批判ではなく興味のために書き留めていたのだからそれはいいか。 |
今週の読書 吉田修一「日曜日たち」 講談社文庫 5つの短編に横糸の様に幼い兄弟の存在が通っているが、結ばれているのとは違う。まさか最後で結ばれるのかと思ったが、それはなかった。ところで本作になにか軽い違和感を感じたのだが最近一人称の小説ばかり読んでいたせいだと気が付いた。
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