映画「スカイ・クロラ」2008年08月23日

 「思っていたより早く来たわね」
 「太陽が眩しかったから」
 「カミュ?(苦笑)」

 と、冒頭から押井節と思ったが、意外にもそれきりだった。伏線かと思いきや話もそれきり。実は『シジフォスの神話』でテーマ自体を仄めかしていたということらしいが。

 事前情報がないと不安になりそうだが、公開前特番を見ていたし、三鷹の森でも展示があったので世界観やらディティールは概ね把握していたつもりだった。しかし、わざとかも知れないが「ショーとしての戦争」とか「死なないキルドレ」の説明はある意味違っていて、逆にさらのまま観たかったという気もする。

 ネットの情報は遠ざけておこうと決め、そこで得ていたものは「草薙の銃はPPK/SではなくPPK(残念ながら戦後型)で、デスクの上でも弾を装填した状態」という枝葉末節のこと。そして「エンドロールは完全に終わってから退出」という2つだけ。

 CGも音響も凄いという話ばかり聞いていたので、残念ながら粗探しぽい見方になっていたかも。戦争に関係ないメカを区別のためか“手描き”にしていたが、ナローポルシェのパースが少し変で気になったとか。投げ捨てたマッチ棒の音まで再現しているくせに、ダンヒルらしき草薙のライターの音がジッポーだったこととか(隊員の官給品を借りるカットはなかったはず)。作品自体に関係ない。関係あるところでは、ショーではない実生活の中での拳銃発砲音がびくりと来る程だったのに対して、迫力満点の空中戦が意外にも腹に響かぬ音だったのはそういう意図だったのかなぁとか。劇場が悪かったかも。

 「繰り返される日常」は『ビューティフルドリーマー』以来だし、そこにまた念入りに『イノセンス』なオルゴールなどの小道具まで、と言い出したらきりがない。しかし原作がライトなライトノベルのためか(未読だが)押井キツさは少なく、むしろファンには物足りないかも。

『スカイ・クロラ』公式サイト 重くてへこたれる。


これはPPK/S。リアサイト後辺りに飛び出しているのがローディングインジケータ。弾が装填されているという表示になっている。

小隊司令部発

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