「誰かに似た」1/4回2009年05月26日



 いつもと違う改札から駅に入ることになった。近くで煙草屋を探したためだ。

 階段を上りきったところでホームに列車が入ってきたのでそのまま飛び乗る。別に急ぐわけでもないのに無意味なことをしてしまったと考えている内にK駅に着く。列車を降りると目の前が階段だったのでそこを降りた。そのため、いつも使うのとは反対側の口に出てしまった。

 会社が反対側なのは分かるが、駅の外をどう回って行けば辿り着くのか思い付かない。ここの営業所に配属されてから1年が経つが、考えてみれば会社との往復以外で駅前を歩くことはなかった。まあ、歩き回ってもさして面白くもなさそうな街なのではあるが。何か特に面白い施設があるわけでもない。ひたすら居酒屋と、金貸しと、風俗と、後はゲームセンター位しか目に入らない。

 それなのに、帰路につく人の流れを縫ってふらふらと歩くうちに、今日はもう直帰にしてその辺の酒場で1杯呑っていくかという気になった。なぜだかは分からない。

 会社に電話を入れると、愛想のない総務の女が、営業はもう誰もいないと言う。「へぇそんなこともあるんだ、珍しい」と思ったが、彼女相手にそんな言葉を返す位なら駅のトイレで独り言でも言っていた方がましだ。個人的な感想は口には出さず、ボードの書き換えだけを事務的に頼んで電話を切った。

 呑むと言っても当ては何もない。昼飯すらこの辺りでは摂っていないのだから、どこら辺に何があるかの見当も付かない。居酒屋の看板がやけに目立つが、この辺の居酒屋に1人で入るのもあまりぞっとしない。いわゆる立ち呑みというのも結構あるが、「再生」だの「開運」だのとしみったれた文字の貼り付けられた酒場で、見知らぬおっさんに囲まれて安酒煽るなんていうのも勘弁だ。適当なバーでもあれば良いのだが。

 探し回るのは面倒臭いなと思いながら歩くと、少し行った角を曲がった所に、ちょっとうらぶれた感じのカウンターバーが1軒あった。

続く

連載の途中ですが緊急告知です。PowerBookG4、またも電源故障しました。昨年10月のトラブルと概ね同症状。おいAppleよ、また5万せしめる気か? セコイ奴だなおい。
連載のアップ用データは用意できているので、とりあえず今週の更新は確保済みのため、引き続きおつきあいを。


小隊司令部発

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