警察の琴線2008年11月10日

 タナカ製カシオペアタイプのエアガンは本物の拳銃と同じ殺傷能力を持つということで、警視庁組織犯罪対策5課が銃刀法違反(拳銃所持)容疑でメーカーを家宅捜索し約800挺を押収した。

 ウェブではYOMIURI ONLINEのみがタナカ社長のコメントを載せた。「この商品の本体や薬きょうの強度では、火薬を使って発射するのは不可能。これが違法なら、世の中のエアガンはすべて違法になってしまう」。まあ、全てということもないが。

 私はこの形式のトイガンには全く関心が無かったのだが、“新方式”ということでは専門誌の記事に目を通すくらいのことはしていた。Gun誌では'08年9月号P139に内部構造の写真と解説が載っている。薬莢は勿論単なる低圧ガスタンク程度。それを保持するシリンダーは脆い亜鉛ダイキャストの骨組みに外皮は肉薄のプラスティック製で、タナカ社長の言う通りの物である。

 しかし、速燃性火薬を充填した薬莢を用意し、硬質金属から削り出したシリンダーに装填し、そのままでは薬莢を叩かない構造のハンマーの代わりに直接叩ける構造に作り替えれば、「金属弾」を火薬で打ち出すことは可能である。

 でもその作業が出来るなら、そもそも一から拳銃を作れるのではないか? 作れるんだよ。

 「強度を上げた薬きょうの中にガスの代わりに火薬を詰めると、金属弾を連続して数発発射することが可能」で「本物の銃と同様の殺傷能力があることが証明された」と検証した警視庁科学捜査研究所は、どうかどの様な高度な技術力で実銃を作成したのか教えて欲しい。何なら警視庁制式拳銃にしたらいかがか?

 あれはやり過ぎたねという見方がマニアにも多いし、私も敢えてああいう作りにすることもなかろうにとは思っていた。しかし、それは危険だからなんて意味では全然なくて、そこが官側の琴線に触れる箇所だからというだけのことだ。


小隊司令部発

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